タカラモノ ~同じ空の下で~




「ごめんなさい。」

と永岡先輩に伝えて欲しいと頼んだから、伝わってるといいけどな。


やっぱり、自分で美波先輩に面と向かって言いたい。



『次は〇〇高校前〜。〇〇高校前〜。』



…電車が着く。


ドッキドッキと激しく鳴る心臓を抑えて、普通の顔をする。


美波先輩を見る限り、まだ藤川選手とは仲直り出来ていないみたい…


僕が会いに行くことで2人の仲をもっと悪くさせてしまったらどうしよう、そう思うけど…やっぱりいてもたってもいられなかった。


だから、僕が藤川選手に謝って、美波先輩とは何も無いことを言う。



電車を降りて、少し歩くともう学校が近付いて、野球部らしい声が響いてきた。


ここに、藤川選手がいて……美波先輩の彼氏がいて……


まだ美波先輩のことを吹っ切ることが出来ていない僕は、少し複雑な気分になってしまう。


好きな人の好きな人に会いに行く…


そんなこと、本当のこと言えば絶対に絶対にしたくない。


でも僕は、美波先輩の幸せを願いたいから…