「……っ、ほんとにいる…っ」
あたしが部屋の窓から覗いてるのを気付いたのか、家の前にいる碧があたしに向かって手を振る。
どうして…?
今日電話を出来ないのは寮生の集会があるからじゃなかったっけ?
なのに…どうしてここにいるの…っ?
唖然として立ち尽くすあたしを見て、碧はとびっきりの笑顔を見せてくれた。
辺りは暗いし、見えにくいけれど、近くの外灯に少しだけ照らされて少しだけ見えた。
「こっち来い!」
手招きしながら、近所の迷惑にならないように小さな声でそう言ってきた。
「うん。」
そうとだけ頷いて、寝ているお父さんやお母さん、お兄ちゃんを起こさないように静かに部屋を出る。
そして、階段を降りて玄関の方に向かう。
碧…
碧はもしかしてあたしにサプライズするために、あんな嘘をついたの?
あたし、すっごくテンション下がって落ち込んでたのに…
こんなことされたら、許しちゃうに決まってる。
落ち込んでたことなんて、もうとっくに忘れちゃってる。
碧が、家まで来てくれたんだもんっ。
そんなに簡単に来れるような距離じゃないのに、わざわざこんな時間にこんなとこまで来てくれた。
さっきまで訳分からなくて唖然としてたあたしだけど、今の状態がわかったいま、あたしは走って玄関を飛び出した。

