「眠い……」

時計は0:30を指している

一般的な男子高校生はそろそろ寝始める

ころだか、俺はジャージ姿で歌謡曲を聞

きながら、扇子を使いながら踊っている

「クソ眠い……」





事の始まりはこうだった

高1の春

受験に失敗した俺は母親から、見放され

連れてこられた先は劇団夢見(ゆめみ)

入れと言われて入ったは良いが

俺は今まで大衆演劇なんて見た事がない

関わりといえば、母親がファンなだけ



そんな理由で入ってはや、7ヵ月

俺も舞台にようやく立てるようになり

現在稽古中というわけだ




「ふわぁーっ」

俺の横であくびをしているのは、俺の4

歳年上の19歳の蒼威(あおい)

中1で染めたという金髪と整った顔立ち

の所謂美青年。だが、腹の中は真っ黒。

人をいじるのを生きがいにしていると思

うほどのドS。の隣でさっきから台本片

手にニヤついているのは……

「明日は私が主役〜♡」

1人ニヤニヤしているのは、牡丹(ぼたん)

黒髪ボブと、低身長な妄想大好きな俺と

同じ15歳。

「明日はぁ〜大入り満員頂くぜ!」

もの凄く大きな野望を口にしていること

に牡丹は気づいているのだろうか……?

「牡丹〜明日お前大丈夫か〜?」

蒼威がニヤニヤしている。一方の牡丹は

頭の上に?マークを浮かべている

「何が大丈夫なんだ?」

俺が聞くと蒼威は

「そりゃ、お客さんの入り具合だよ」

……。出来ることなら牡丹のフォローを

してあげたいが言葉が見当たらない。

今日は公演所に来てから1週間目

大入りは現時点で3枚。そして、昨日の

お客さんは、5人。

「っ……!蒼威の馬鹿!禿げろ!イケメ

ン!」

最後の一言は褒めてるな……

目に涙を溜めて駆け足で部屋から出てい

く牡丹。

泣かせた蒼威をいじってやろーかと思っ

たら

「禿げろって……。禿げてないよな?」

鏡片手に落ち込んでいた。

「何なんだよ……コイツら!」

俺の叫びは座長のチョップによって、収

まった