今日も世界は回ってる

殺しをさせる為に命を救う。

とんだ医者もいたものだ。

「俺も真っ当な生き方はしてねぇからな…ヤクザ、脱獄犯、亡命者…色んな奴を治療してきたぜ。治った矢先に死んじまった奴も大勢いるがな」

一升瓶片手に、老医者は言う。

「拾った命を、そいつがどう使おうが知った事じゃねぇ。例え死にかけでも、健康体に戻す。そこまでが俺の仕事だ。そいつがどんな素性だろうが、立って歩けるまでに治す」

「例え総理大臣を暗殺した者でもか」

「関係ねぇな」

亮二の問いかけに、老医者は即答した。