そうやって同じように奪還された2人の男…松岡 雄作(まつおか ゆうさく)と伊庭 瑛士(いば えいじ)も、隣のベッドに包帯だらけで寝かされている。

彼らはまだ意識を取り戻した様子はない。

「まともなベッドで眠るのは何年ぶりだって爆睡ぶりだなぁ…」

突然声が聞こえて、亮二は横になったまま振り向く。

体が動かない、得物のアイスピックも手元にない。

圧倒的不利に不安を覚えていると。

「そう警戒しなさんな」

亮二の視線の先…椅子に座った老人が笑った。

白衣を着ているので医者だろうか。

机の上には一升瓶の日本酒が置かれている。

すっかり出来上がっている様子だった。