今日も世界は回ってる

「鋭い貫手だ」

龍宇の背後に回り込むセルゲイ。

完全に回避したように見えたが、彼の仕立ての良いスーツは大きく切り裂かれてしまっている。

「それだけの貫手が使えるなら、容易く人も殺せような」

「…人殺しの為に技は使わない」

「使うさ。本当に自分が窮地に追い込まれればな」

改めて対峙する龍宇とセルゲイ。

しかし。

「ここまでのようだな」

遠くにパトカーのサイレンを聞き、セルゲイは構えを解く。

「何、お楽しみは後にとっておいた方が長く楽しめる」