今日も世界は回ってる

龍宇の脳裏に、格闘特区で別れた少女の顔が浮かぶ。

見た事はないが、その少女の泣き顔も容易に想像できた。

「悪いが興味がない」

セルゲイから視線を外し、再び歩き出そうとする龍宇。

その龍宇の肩を、取り巻きの屈強な男達が摑んだ。

瞬間。

「!?」

龍宇は手にしていた頭陀袋を手放すと同時に、男達の手首を摑み、手首の関節を逆に捻って倒す精密な技を繰り出す!

小手返し。

然程珍しくもない投げ技だが、両手で別々の相手を捕まえ、同時に投げるとは。

「なかなかやるな。流石は殺人拳の流儀の使い手だ」

感心したようにセルゲイが言う。