強いという事は、時として身を滅ぼす切っ掛けになる事がある。

ロシアのとある地方都市を歩いていた龍宇は、黒Tシャツ、黒ズボンの屈強な男達に取り囲まれる。

はち切れんばかりの胸板、鍛え上げ過ぎで首がないようにさえ見える肩の筋肉。

どいつもこいつも、プロテインで作り上げた見せかけの筋肉ではない。

激しいトレーニングによって鍛え上げられた筋肉。

しかもスポーツマンの筋肉ではない。

格闘家の筋肉でもない。

『人殺し』の為の筋肉だった。