火炙りにでもされたのか全身爛れ、胸には乱雑に荒縄で縫合され、血が滲んだ痕さえある。

普通の人間ならば、とうの昔に死んでいる傷だ。

何処までも醜悪、何処までも見るに堪えないその姿。

残酷さの極地に至らないと、これ程の傷を与える事は出来ない。

もしあの傷が人間の付けたものなら、人間は何処まで残忍になれるのか。

それを肉体を以って体現した姿と言えるだろう。

ベナル・ヨアキム・シュターセン。

不死の王(デミリッチ)。

幾度となく人の世を脅かし、時代時代の勇者、英雄、化け物退治の専門家達によって何度も活動不可能なまでに肉体を破壊され、拘束を繰り返されて尚、死なないもの。

この世界は勿論、並行世界をも揺るがすほどの力を持つと言われる、人類に災厄をもたらす人外達の総称『滅びの5人』の1人。