しかしここ数十年の間、人目を忍んできたこの緑の森に、森の番人やハンター達が入り込むようになった。

04年、ドイツの研究者がこの森の土壌に17パーセントにもなる極端に危険なレベルの砒素が含まれている事を発見した。

これはこれまでのゾーンルージュで見つかった平均的なレベルの何万倍もの量だという。

本城達が向日葵に入手したガスマスクを無理矢理被らせたのはその為だ。

「…って、十文字君達は被ってないじゃん!大変だよ!砒素が!ドジョウが!17パーセントがぁあぁあぁ!」

「バーカ」

騒ぐ向日葵のオデコを、十文字 誠(じゅうもんじ まこと)がペシッと叩いた。

「俺達は大丈夫なんだよ、『普通じゃない』んだから」