「おめぇよぉ」

意を決して、そう、意を決して。

「あの~…その~…アレだ…何つーか…ほれ」

歯切れが悪い。

「ええいっ、めんどくせぇっ」

腹を括って。

「家にゃ帰らねぇのか。いつまでも事務所に入り浸ってっと、親とか心配しねぇのか」

「……」

言われた途端、雛罌粟の表情が見る見るうちに曇っていくのが分かった。

(やべぇ、泣く)

こう見えても泣く子と女には弱い。

耕介が珍しく狼狽する。