あまり家に帰りたがらない所を見ると、雛罌粟は両親や家族とは上手くいっていないのかもしれない。

或いは既に家族はいない…そう、死別とか、そういう類なのか。

彼女のプライベートに関する事柄なので、深くは踏み込まなかった。

が、このままいつまでも雛罌粟を事務所に置いて、警察に淫行で引っ張られるのも何だし、何より未成年は親元にいるべきだ、とか。

不良探偵の耕介らしからぬ事も考えてみたりする。

ここは意を決して。

「おい、雛罌粟」

椅子の背凭れに仰け反ったまま、耕介は声をかける。

「はい」

無表情、抑揚ない声で返事する雛罌粟。

「シたいですか?シますか?」

「そうじゃねぇっ」