「…ママ…誰と話してるの…?」

話し声に気付いて、目を覚ましたシェド。

龍宇は彼女の傍らにしゃがみ込むと、頭陀袋の中から何か取り出した。

それは、非常食にと持っておいたビスケット。

これを、シェドに差し出す。

「…くれるの…?」

何故食べ物を貰えるのか分からない。

キョトンとするシェドに、龍宇は微かに笑みを浮かべ、また立ち去っていく。

屈強な男達相手なら、力尽くで来られても何も与えない。

しかし、龍宇ほどの武道家が、か弱く力ない少女には進んで食べ物を与えた。