その手から、ポロリと革財布が地面に落ちた。

目を見開くギャル。

「介抱するふりして、オッサンから財布くすねたんだ。チンピラか掏摸かどっちかにしろってんだ」

男を後ろ手にして、押さえつける巽。

「だからって!」

ギャルは尚も巽を制しようとする

「こんな往来のど真ん中で、派手にやり過ぎじゃないの?人目につくでしょ!」

「構やしねぇよ」

「鬼首會の連中に見つかったら、ただじゃ済まないよ!」

「上等だよ。幾らでも相手になってやる」

一歩も退こうとしない巽。