その騒ぎを聞きつけたのか。

「ちょっとアンタ!」

1人の若い女が、人混みを掻き分けて近付いてきた。

茶髪のセミロング、日焼けした褐色の肌、キャミソールにホットパンツ。

夜遊びした帰りのギャルらしい。

「何してんのよ!放しなさいよ!」

「あぁ?」

巽は訝しげな顔をしてギャルを見る。

「その男は三代目鬼首會の四次団体の組員よ!手ぇ出すと碌な事にならないよ?」

…女なのに、四次団体なんて言葉を使うとは。

暴力団の知識があるようだ。

または暴力団関係者の愛人か。

何にせよ。

「四次だろうが五次だろうが関係ないな」

巽はもう一度、男の腕を捻り上げる。