巽 英二(たつみ えいじ)が夜の歌舞伎町界隈を流れるように歩くのは日常だ。

彼は刑事である。

籍こそ警視庁捜査一課所属。

しかし彼は、刑事部長の徳本 信繁(とくもと のぶしげ)によって特別な権限を与えられた特殊な位置付けの警察官。

本来なら法に抵触するような強引な捜査方法も許され、その犯罪者紛いの強引なやり方から、『野獣』と呼ばれて恐れられている。

サングラス越しの鋭い視線が、雑踏の中を彷徨う。

その視線は目敏く何かを見つけ。

「!」

1人の男を捕らえた。