そんなサンペドロスラを歩く、1人のアジア人の若者。

黒の短髪、額には鉢巻き。

白の袖無しの空手着に黒帯。

足元は何と裸足だ。

彼は肩に頭陀袋を下げて、街の中を進む。

黄色人種は珍しいのか、街の人々は無遠慮に彼をジロジロと見る。

と。

「ヘイ、モンキー!」

突如として数人の黒人が、若者を取り囲んだ。

その手にはナイフ。

「お前、カラテマンか?」

「……」

「ジャパニーズカラテマンかって訊いてんだよボケ!それともニンジャかっ?」

嘲笑するように、しかし怒鳴り続ける黒人達。

実の所、若者がカラテマンだろうがニンジャだろうが、どうだっていい。

彼らの目的は、若者の持つ金目の物。

それがなければ彼自身の命なのだから。