もう一度振り向いた時には。

「!!!!!」

既に遅かった。

先程は受け止められた筈の南雲式上げ打ちが襲いかかる!

右拳、右肘、右膝が瞬時にしてセルゲイの体に叩き込まれる!

特筆すべきは、拳も肘も膝も、セルゲイの体の芯にまで到達するほどの威力だったという事。

その南雲式上げ打ちを。

「!?」

龍宇は着地と同時に、もう一度繰り出してセルゲイに叩き込む!

グルンと剥かれるセルゲイの白目。

食らう度に、意識が飛ばされてしまう。

こんな強打がこの世にあるのか。

(この俺の意識を飛ばすほどの…強打だと…?)

薄れゆく意識の中で、そんな事を考えるセルゲイ。

着地した彼が最後に見たのは。

「こぉぉおぉぉおぉお…」

両掌を腰溜めにする発勁の構えをとる龍宇の姿だった。

虎撲烈波(こぼくれっぱ)!

最早棒立ちのセルゲイは内部から衝撃を与えられ、崩れるようにその場に倒れた。