今日も世界は回ってる

薄汚れた白い袖無しの空手着、その空手着を張り詰めさせる背中の筋肉。

莉々は思わず口元を覆い、涙を浮かべる。

「龍宇さん…っ」

嘗ての格闘特区の覇者、孤高の龍・南雲 龍宇が帰ってきた。

「久しいな」

セルゲイがニヤリと笑う。

ロシアの地方都市以来の再会。

「俺が考えるロシアでの格闘都市構想に参加する気になったか?」

「…それに応じなかったから、格闘特区を襲撃したのか」

龍宇の拳が握り締められる。

「無関係の莉々や格闘特区の格闘家まで巻き込んで…!」

「戦略だよ、龍宇。当人が首を縦に振らないなら、まず搦手から攻めていく。兵法の基本だろう?」

セルゲイの言葉に。

「ふざけるな!」

龍宇は踏み込んだ!