ジャックハマー。

洪はこの一撃で昏倒した。

「こ、こんな真似をして、只で済むと思ってるのっ?」

傷だらけの莉々が叫ぶ。

「力で全てを蹂躙して、黙らせて、意のままにしようなんて!」

「…格闘家の言葉ではないな」

洪を足蹴にしたまま、セルゲイは笑った。

「力で全てを蹂躙して、黙らせて、意のままにする。それを止めたくば俺を倒してみろ。それが格闘家というものだろう?格闘家とは、拳でしか語り合えないものだ」

「…下がってろ莉々ちゃん」

三沢が莉々の前に出る。

「俺は南雲が帰ってくるまで、君を守る義務がある」

とはいえ、あのセルゲイ相手に三沢でもどこまでもつか。

新しく編み出した旋回式エメラルドフロウジョンすら通じないあの男に、一体どこまで…。

それでも悲壮な覚悟で前に出ようとした三沢の肩を。

「有り難う、三沢」

1人の男が摑んだ。

「ここからは俺がやる。俺の武者修行の道程での縁、そして俺が背負った業だ」