冗談を言っている風には見えない。

それが真面目な話と知るや、ガイストは表情を引き締める。

「誘拐って、一体誰を?このマンセル要塞に資産家出身のコントラクターがいたか?まさか俺やアンタを誘拐しに来たなんて無謀な連中だったのか?」

今も世界中の戦場で『伝説の幽霊』の御伽話を語り継がれている傭兵ゴースト。

そしてその御伽話を継ぐ『継ぎ接ぎだらけの亡霊』フリッケン・ガイスト。

戦場を生きる者にとって、この2人の噂を知らない者はいない。

この2人…どちらか片方だけでも拉致する事が、どれほど困難を極める事かは、自ずと分かる筈だ。

彼らがいるこのマンセル要塞は、いまやアメリカ軍の基地への潜入よりも難しいのだから。