「で」

マンセル要塞の司令部。

ガイストは壁に背中を預け、腕組みする。

「あの侵入者の目的は何だったんだ?」

「身代金だ」

キューバ産の高級葉巻コイーバをくゆらせながら、ゴーストは椅子に座り、机に両足を上げて言った。

思わずガイストが笑う。

「おいおい、このデュラハン社に身代金目的で誘拐に入ったっていうのか?随分と非効率的な誘拐犯もいたもんだ。どこぞの金持ちのお嬢様でも攫った方が、大金がせしめられるんじゃないのか?」

「いや、効率的さ。そこいらの金持ちのお嬢様を誘拐するよりも、ずっとな」

ゴーストは灰皿で葉巻を揉み消した。