「無視すんなよ。 てか、先輩のどこが好きなわけ?」 「好きに理由なんかないよ。 気付いたら全部が好きになってた。」 どんな仕草だって、凛とした後ろ姿にさえも。 「ふーん。 なら、空の世界には色がついちゃった、てわけだ。」 と、いってこっちを向くそいつ。 少しだけ瞳が揺れた気がした。 「なに臭いこといってんの。」 そういいつも、堅苦しい笑顔しか作れなかったのは 自分の責任だった。