秀ちゃんはさ、ずるいよね。
私から言うのを待ってるんだよね。
別れたいの?別れるの?って
そうやって声をだそうとしたけど、だせなかった。
「大好きだったよ、秀ちゃん」
笑う。泣きたくない。
泣いたらもう終わる。
まだ、泣きたくない。話したい。
「俺も…でも」
なに?秀一、秀一。
思い出が脳裏に次々浮かんでとまらない。
明里がみたらたぶん今こそ問い詰めなよって騒いで言うんだろうなってぼんやり思った。
「まぁこ、俺、起きれるんだよ」
「なんの話し?」
思わず声が上擦る。泣きたくないのに。
秀一は私とは違ってさっきの顔じゃなくなった。
少し寂しそうだけど真面目な顔で。
そんな顔は知らない。
「朝、起きれるし仕事も生活もまぁこなしの生活が続いている」
「まぁこ、ごめんな」
それがもう普通なんだ。
昔とは違うんだ。
ハッキリ言えなくてごめん。
嫌いになったわけじゃない。
もう昔とは違うんだ。
ずっと待たなくていいんだよ。
俺にあわせて休日も優先にしなくていい。
まぁこはまぁこの生活を生きてほしい。
私が泣くのを堪えている間、秀一は
ずっとごめんな、ごめんなと繰り返していた。
