「えー、5組の担任となりました、鈴木勉です。」




でっぷりと太ったおじさんが片手に紙を持ちながら、クラスにいる生徒達をを見回した。



「えー、では自己紹介をしてもらいましょうか。」



まず青木君から、と先生は言った。どうやら出席番号順にいくようだ。



そして、私の番が来た。



「うっ、卯花 姫歌・・です」



正直、こういったみんなに注目されることが苦手。




なんとなく視線が怖いと思ってしまって。




「神崎川 拓磨です」



拓磨の自己紹介が始まった。




女子の目が一気に集まる。





(まぁ、かっこいいもんね。)




・・・かっこいいとモテるんだろうな。





ふとそう思って不安になった。





(もしかして轟先輩、彼女いたりして・・・)




あり得ない話ではない。




だって先輩は本当にかっこいいから。




(誰に告白されたっておかしくないもんね)




不安になりながら、自己紹介を聞いていると



「・・・西園寺 優」



ボソッと一番後ろの席からだるそうな声が聞こえた。




(この人もイケメン・・・)




近寄るなオーラを出していて、それがより一層かっこよさをかもし出していた。



「あー、あの人ね、気を付けた方がいいよー」



私の前の席の女子、(確か岩崎 里美)が言ってきた。




「なんかねー女子のこと、毛嫌いしてるみたいでさぁー」



噂なんだけど、と里美ちゃんは西園寺君について教えてくれた。



西園寺君はいつもは無口らしいんだけど・・。



西園寺君は顔が良いから女子が寄ってくるみたいで、前にそれがうっとおしいとキレて・・・黙れブス共が、と叫んだそうで。



そして一言。



「顔さえ良ければ寄ってくるってマジキメェ。」



あー・・・



「ねー、ひどいっしょ?」



・・・うん。それはちょっと・・酷いかな。




「で、拓磨君ってさ~かっこよくない?」



ちらと拓磨を見る里美ちゃん。



「しかも優しそうじゃん。」



彼女いんのかなぁー、ポツリと里美ちゃんは呟いた。




「いないんじゃない?」




「だといいなぁー。あ、あとさー今年の応援団長ヤバくない!?」




え?



「これまたかっこいいよねー。」




あー仲良くなりたいなー、応援団入っちゃおっかなーと里美ちゃんは呟く。




冗談だよね・・・冗談としてとっていいよね?




(私の方が強く思ってるもん。里美ちゃんよりも・・・・)




分かっていたのに。敵がいるって分かってたのに。




頑張らなきゃ、私は深呼吸をした。