「君、良かったらワタシと心中しないかい!」

お茶でもしないか?
古くさい王道のナンパの誘い文句はそうだろう。

だが、彼は何と言った?

「しんじゅう・・・心中!?」

ブレザーを着た女子高生に向けて言う言葉ではない、
そもそも赤の他人に対して向ける言葉でもない。

「私に近寄らないでください、警察を呼びますよ!」

変質者に話しかけられたのは初めてだ、対処法など心得ていない。
そこで市民を守るヒーローに助けを求めようとした。

しかし、変質者は余裕の笑みを浮かべている。

「武装した人ごときにワタシを止められるとでも言うのかい」

「貴方は何者ですか!?」

より変質者度が増してきた。
バックを盾に後ずさる。

「私は貴方の友達でもなければ家族でもありません、心中相手は他を当たってください!」

脱兎のごとく走りながら叫んだ、追ってこない事を願いながら。

残された変質者もとい青年は女子高生もとい少女の走り去った方向を見つめながら呟く。

「君の事が好きだから一緒に死んでください、と言った方が良かったかな?」

首を傾げながら思考回路を巡らせる。

次はどう口説きにいこう

曲がった考えを持ちながら愛しい少女の姿を思い出す。

次はどこで待ち伏せしよう