桜が校舎を鮮やかに彩り、暖かな陽光が降り注ぐ、春。


今春から高校一年生として、真新しい制服に身を包み、まだ慣れない通学路を歩く私ーー春宮綺咲(はるみやきさき)・十五歳。


華やかに花弁を散らす桜並木の下を進み、私が向かうのは、私が通う女子高。


その女子高の正門へと続く並木道を一人歩いていると、すぐ後ろから声が掛けられる。


「綺咲~! オッハー♪」


呼び声に応え、振り向くと、そこには一人の女子生徒の姿があった。