春に咲く柚

「ありがとうございます。お邪魔します」


恋に対して軽く会釈をした綺咲は、俺の隣に立った。


「そう言えば、涼香ちゃんは一緒じゃないんだ?」


ふと思ったことを口にすると、綺咲はふっ、と苦笑した。


「ああ、はい。涼香ちゃんは、尚先輩から逃げてて……」


成る程。


尚人の姿が見当たらないと思っていたら、謝罪に出掛けていたようだ。