だって、聞いてない。
聞いてない聞いてない聞いてないっ!!
「梨花子、あたしたちって親友だよね?」
「もちろん」
「だったら、言ってくれたら良かったのに……」
あたしの知らない所で動いていた親友の恋に、なんだか少し寂しい気分になる。
「ごめん。なんかさ、言いづらくて。
だって美未も、悩んでたじゃない?」
「は?」
「ほら、例の。8歳上のパパとの関係」
「あー……」
……今それを言われると、複雑だった。
あたしだって、梨花子には言っていないから。
彼を好きになってしまったことも、その気持ちを隠して家族になると決めたことも。
そう言えばあたし、何も言ってないんだよね。