わかっているはずだった。 彼を好きだと思う前から、頭の隅っこであたしは<娘>だと、言い聞かせていた。 でも、毎日お弁当を作るようになって。 あたしがバイトの日は、一緒に食べて。 だんだん近付く距離に、自惚れていたのかもしれない。 彼が見せる笑顔とか。 全てを包んでくれる優しさ。 ひとつひとつの言葉の温もり――……。 いつの間にか、どうしようもないくらいに好きになって。 心の中に彼の居場所ができていた。 ……皮肉だよ。 彼の口から出た<娘>という言葉で、改めて<好き>を実感するなんて。