予想外の行動に、言葉を失っているあたしを見て、彼はクスリと笑う。 そして。 左手に持っていたお弁当の入った袋を、顔の前に掲げると、小さく口を開いた。 「ありがとな」 「っっ!!」 ――パタン。 ドアが閉まってしばらくしても、あたしはその場から動けなかった。 ……あんなの、反則だよ。 ほとんど口パクに近い状態で聞こえた「ありがとな」の言葉に、あたしのドキドキは最高潮に達していた。