――……なんだろう。

この心地好さ。


いつもよりも自然な会話の流れに、二人きりで緊張していた心がほぐれていく気がした。


とくんとくんと、穏やかなリズムを刻む胸の音。

温かい彼の手の安心感。



……もう、ごまかせない。


あたしはきっと。


きっと、この人のことを意識してるんだ。



『ママの再婚相手』だからじゃなく。


ひとりの、『男性』として。


初めてまともに会話をした時から、

彼の優しさに触れた時から。


それは始まっていたんだ――……。