梨花子に誘われたバイトも今日で3日目。
『サラリーマン御用達のお店』を『喫茶店』だと思っていたあたしの希望は、バイト先に足を踏み入れたとたん、一瞬にして儚く散った。
何がいいバイトだよ。
何が『新しい出会い』だよーっっ!!
どうりでいくら電話をしても、
『来てからのお楽しみ♪』
なんて誤魔化されたわけだ。
いや、働いているのが梨花子のおばさんだと聞いた時点で、気付くべきだったんだ。
……梨花子め。
あたしは、隣で営業スマイルを浮かべる梨花子をこっそりと睨み付ける。
それに気付いた梨花子はあっけらかんとした表情で。
「……ん、何?
あ、美未!スペシャル弁当1つだって!」
「……はいはい」
またしても、あたしのやる気のない声が響いた。
『安い!旨い!デカイ!
弁当屋みずの』
そんなペイントの入った、ワゴン車の中で……。