8歳上のパパ【長期更新停止中】




人間って、不思議なもので。


あんなに戸惑っていたのに、一度口を開いてしまえばそんなのは関係ない。


まるで洪水のように、今まで抑えていた気持ちが一気に溢れ出すのが分かる。



最初は何とも思ってなかったのに。

それどころか、今さら再婚なんてって呆れていたくらいなのに。


いつの間にか、彼のことが気になって。

気が付けば目で追っていて……。


雪が降るかもってわざわざ伝えに戻ってきてくれたり。

美味しいってお弁当を食べてくれたり。

「美未ちゃん」って呼んでくれることが嬉しくて……。



何度も諦めようと思った。

彼はママの再婚相手で。
あたしは彼の娘。

そう言い聞かせて、前に進もうと一志と付き合った。


でもそれは……自分のエゴ。

そのことに気付いたから、一志とはこれ以上一緒にいられないって思った。





「今まで、……黙っててごめんなさい」


震える声であたしが話している間、ママは何も言わず、静かに耳を傾けていた。