2人の間を、神妙な空気が流れる。 「何?話って」 「うん……」 一志はきっと、薄々気付いてる。 でも、そんな様子を感じさせないように気を遣ってくれている。 本当に優しい人。 きっと一志といれば、幸せになれると思う。 だけど……。 あたしは寒さで少し乾燥した唇をゆっくりと開いた。 「あたしたち、別れよ……?」 その言葉と共に漏れた白い息が、空気に混じって消えていった。