「だからさ。悩むなよ?」

「え?」

「……なんか美未、戸惑ってるみたいだったから。純一さんの存在に。
まぁ、あれだけ若くてカッコ良けりゃ戸惑うか」

「な、何言ってんの……」


温かい。だけど核心を突くような一志の言葉に、何を返せばよいのか分からなかった。

その代わりに、彼のコートをギュッと掴む。


もしかしたら一志は、あたしの中にある複雑な思いに薄々気付いているのかも知れない。

でもきっと、自分からは追及しない。


だからあたしは、そんな一志の優しさにいつも甘えてしまうんだ。




――ごめんね、一志。
付き合うって決めたのに、少しのことで揺れてしまう。
優柔不断でごめん。




1年前よりも逞しくなったその胸に体を預けながら……あたしは、込み上げる胸の痛みを必死でごまかそうとしていた。