でも、それと同時にあたしの中に不安の二文字が浮かび上がってきていた。
奮発して買った海老の天ぷらを口に運んだ後、ビールがなくなったことに気付いた彼は、グラスを置いて立ち上がる。
向かったのは、キッチンの横にある冷蔵庫。
まさか……まだ飲むつもり?
そう思ったのも束の間、扉を開いて、片手で2本のビールを取り出した。
「ちょっ……待って!!」
思わず声を上げたあたしに、彼はゆっくりと顔を向ける。
「……何?」
赤く染まる頬。
うつろな目。
当然だった。
だって、彼が座っていた椅子の足元には、すでに空っぽになったビール瓶が3本。
その8割以上を、彼が飲んでいたから。
すでに足取りもおぼつかない彼に、あたしは恐る恐る口を開く。
「あの……。ちょっと飲みすぎじゃ……?」
「……」
「あ、えっと、ほら。明日に響くと良くないし」
「……」
その言葉に、彼は一切答えることはなかった。
そのかわり、心配するあたしをよそに4本目のビールの蓋を開ける。
笑い声が聞こえるリビングに、ポン、と鈍い音が響いた。

