その後、梨花子と別れたあたしたちは、近くのファミレスへと向かう。
窓際の中央の席は、以前付き合っていた頃のあたしたちの特等席だった。
「なんか久しぶりだな、ここ」
「そうだね」
短い会話を交わしながら、メニューを選んで注文する。
「オレ、和風ハンバーグセット。美未は?」
「じゃあ、カルボナーラで」
店員さんはあたしたちの注文をパッと入力すると、「かしこまりました」と言って去っていく。
店内には、同じくらいの年齢のカップルや、家族連れ、友達同士など、色々なお客さんが来ていて、ちょうど良い混み具合だった。
いくつかテーブルを挟んで設けられている喫煙スペースから微かに煙草の匂いが漂ってくる。
それがまた、彼が吸っていた煙草を思い出させて……。
あたしの心を、ぎゅっと締め付けた。

