それから夕方のピークを迎え、その時ぼんやりと浮かんだ違和感も忘れた頃。
「お疲れさまでした」
「んじゃ、お先ー!」
片付け中の店長に頭を下げて、ワゴンを後にしたあたしたちの前に、突然影が現れた。
「ぎゃっ?!」
思わず可愛くない声を上げてしまったあたし。
だけど、隣りにいた梨花子が驚いたように叫んだ声を聞いて、それが誰なのかを知った。
「一志くんっ!!」
「え?!」
梨花子の視線の先にパッと顔を向けると、そこにいたのは紛れもなく一志だった。
「久しぶり、梨花ちゃん。
つか、美未は驚きすぎだろ」
「……ごめん。まさか一志だとは思わなくて」
自分の驚きようが恥ずかして、視線を下へと落とす。
すると一志は、少し身をかがめて、あたしの顔を覗き込むようにしながら言った。
「……来ちゃ、ダメだった?」

