――そして……。
この気まずいパーティーの中で、ママが言い出した『いいこと』。
何かを企んでいそうな笑みに、一瞬だけ違和感は感じたけれど、あまりにも驚きすぎてあたしは思わず叫んでしまった。
「えっ!?ちょっと、無理。そんなの急に無理だって!」
「えー?いいでしょ!
ママ、もう決めたもん!!
ね……?純一くん?」
「……」
急に話を振られた彼は、少しだけ眉間にしわを寄せていた。
ママは何をどう勘違いしたのか、それを「賛成」と捉えたようで。
「じゃ、早速一志くんに伝えておいてね♪」
再びシャンパンをグラスに注ぎ、鼻唄を歌い始めたママを、あたしは呆れた瞳で見つめていた。
……もう、勘弁してよ、ママ。
あたしは心の中で、今日最高に大きなため息を吐いた。