考えているうちに、またため息が出そうになって、あたしは大きく首を振った。


……ダメだ、こんなことばかり考えてちゃ。


彼のことより、一志のこと。


あたしは、一志を好きになるんだから。


だから……頭に浮かぶ思いを追い払おうと試みる。


すると……


「美未、犬みたい……」

「……」


能天気なママの一言に、一気に肩の力が抜け落ちた。


本当にもう。
ママにはとことんやられっぱなしだ。


「悪かったわね、犬みたいで」


少し頬を膨らませながら言うと、何かを感じ取ったらしいママは、またしてもニヤリと不適な笑みを浮かべた。


「ねぇ、美未……?ママ、いいこと思いついちゃったんだけど……」