気持ちを鎮めるため、小さく息を吸う。 途中まで出かかっていた涙のせいで、ズズッと鼻をすする音が鳴ってしまった。 彼の瞳が、大きく開く。 「美未……ちゃん……?」 ――気付かれた……? あたしは、慌てて顔を反らすと、涙を抑えるために天を仰ぐ。 少しだけ黄色味をおびた白い天井が、ぼんやりと歪んで見えた。 「もしかして……泣いてるのか?」 「……」 「……美未ちゃん?」