「……怪我は?」 「うん、大丈夫」 それまでの自然な会話が途切れて、一気にぎくしゃくした空気になる。 こんな時に限って、すれ違う人は誰もいない。 あたしにぶつかった子どもも、後ろめたさからか、謝ってすぐにいなくなってしまった。 ――1年のブランクは、 思った以上に大きいのかもしれない。 キスだって、それ以上だってしたことのある仲なのに、1年ぶりに近づいた距離に心臓が外に飛び出てきそうなくらいに、バクバクと音を立てていた。