だから、あたしは全く知らなかったんだ。
あたしが、深い眠りに入ってすぐに、
そっとドアを開ける音がしたことも。
その時入って来た人が、あたしのそばまできて。
優しい瞳で寝顔を見ていたことも。
そして――。
あの日、あたしを抱きしめたゴツゴツした手が、あたしの頭にそっと触れたことも……。
全然気付かずに、あたしは夢の中にいた。
夢の中であたしは……誰かの隣で、幸せそうに笑っていた。
手作りのお弁当を、
一緒に食べながら――……。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…