小刻みに親指を動かし、メールを下へと送っていくと、 案の定、見つけてしまった。 追伸: もし答えがイエスなら、バレンタインの日にチョコレートが欲しい。 ――だからあたしは……今日、一志の大好きなチョコレートケーキを作っている。 あたしは…… 一志とやり直す。 あの日……。 彼と急接近した日。 並んでマンションのエントランスへ向かう二人の後ろ姿を見て決めた。 抱き締められたはずなのに、なぜか今まで以上に彼が遠くに感じてしまったんだ。