8歳上のパパ【長期更新停止中】



オーブンから、チョコレートケーキの甘くて香ばしい香りが漂ってくる。


……もうすぐ、焼けるころかな。


あたしは、食卓の椅子に腰を下ろすと、ゆっくりと口を開く。



「梨花子、ありがとう。
心配して電話くれたんでしょ?」


「美未……」


「でもね、もう決めたんだ」


「でも……」
「決めたの」



――チン!!


あたしの決意の言葉と同時に、焼き上がりを知らせる音が、オーブンから響いた。