一通り終わって、あとは焼き上がりを待つのみとなった時。 オーブンの中で、徐々に膨らむケーキを見て思う。 あたしの気持ちと似てるって。 どんどん、どんどん膨らんだ彼への気持ちと……。 ――ふと、脳裏に彼の姿が浮かぶ。 あの時、あたしを置いてママと二人でマンションへ入っていく彼の姿。 ショックだった。 一度好きになってしまったから……。 やっぱりあたしはたちは……本当の意味での家族にはなれない……。 それを、心の底から痛感した。