――カツカツカツ……。 聞き覚えのあるヒールの音が、マンションの方へと近付いてくる。 その瞬間、彼の腕の力が弛んだ。 もちろんあたしも。 慌てて彼から離れる。 きっと今、一瞬で同じことを考えた。 ママが、 帰って来たって……。