たった数秒間の沈黙が長く感じる。 思いがけない彼の言葉と行動に、どういう反応をして良いのかわからなかった。 そんな微妙な空気なのに、彼の温もりに心臓がドキドキして仕方ない。 ほんのりと漂うセンスの良い香水の匂いが、大人の男を感じさせる……。 「……すぐにわかったよ。 二人の間には何かあったって。 オマケに夕飯作り忘れるくらいボーッとしてるなんて、美未ちゃんらしくなかったからね……」 「ごめん……なさい」 なんか、もう……訳が分からない。 あたしの中に、複雑な迷路がどんどん出来ていく。