怪訝そうな表情を浮かべるあたしの頭に、彼はそっと大きな手のひらを置く。 「美未ちゃんが、いつまで経ってもオレに敬語を使うから」 「……は?」 敬語って……。 ちょっと拍子抜けだった。 ――でも、思い当たるふしは確かにある。 最初は、男の人と暮らすなんて初めてでドキドキして。 そのうち、それが恋愛感情だって気付いて……。 彼はいつでも、あたしに対して自然に接してくれたけど、あたしはそう簡単には割りきれなかった。